イラストレーター TIPS 「作業がラクになる!『選択』の技術」

コンドットスタッフのA山です。
みなさまごきげんいかがでしょうか。

今回は「イラストレーターTIPS」。基本動作だけに実はいろいろある「選択」についてです。

 

「選択」にもいろいろなTIPSが

イラストレーターでできることはたくさんありますが、基本の流れは ①オブジェクトを作る(配置する) ②変更や効果を加えたいオブジェクトを選ぶ ③選んだオブジェクトに変更や効果を加える の繰り返しですよね。
①や③についてはさまざまな解説がありますが、②の「オブジェクトを選ぶ」部分については案外見過ごされがち。でもこの「選択」というアクションにもいろいろなTIPSがあるのです。

 

選択作業の基本「選択ツール」

オブジェクトの選択には「選択ツール」を使います。矢印型のツールですね。黒い矢印、白い矢印、白とプラスマークの矢印それぞれの特性は本ブログ「矢印ツール」の回をごらんください。

さて、この3種の選択ツールに共通したTIPSを以下でご紹介。
まずは「shiftキーを押しながら選択」。あるオブジェクトを選択した状態で、shiftキーを押しながら別のオブジェクトを選択すると、2つのオブジェクトを同時に選択することができます。この動作は繰り返しが可能で、3つ、4つと多数のオブジェクトを同時に選択することができます。
さらに、選択状態のオブジェクトをshiftキーを押しながらクリックすれば、そのオブジェクトの選択を解除することもできます。
この動作は選択ツールそれぞれの特性の中ではたらきます。つまり、「グループ選択ツール(白プラスの矢印)」でshift選択をすれば、グループ内のオブジェクトそれぞれを同時選択することができますし、「ダイレクト選択ツール(白矢印)」なら、アンカーポイントやパスの線を同時選択することもできます。


ちなみに、「選択」というアクションからは少し外れますが、選択されているオブジェクトをAlt(Option)キーを押しながらドラッグ&ドロップすることで、オブジェクトを複製することが可能です。

 

共通要素を抽出して選択

作業の中で「アートワークの中の赤いオブジェクトだけ選択して色を変えたい」「散らばっている文字だけ削除したい」といった希望が出てくることはありませんか。そのための機能もあります。
上部「選択」メニューの中の「共通」機能を選んでみましょう。さまざまな項目が並んでいますが、これを選ぶと「現在選択しているオブジェクトと共通した要素を持つオブジェクトをすべて選択」してくれます。
たとえば、赤いオブジェクトを選択した状態で「共通」の「カラー(塗り)」を選んでやると、アートワーク内の同じ赤色で塗られたオブジェクトをすべて選択してくれます。


「共通」機能には「線の色」や「フォント」「フォントサイズ」等、さまざまな項目が用意されています。同じ要素を持ったオブジェクトをまとめて操作したいときに大変便利な機能です。

 

「ロック」と「隠す」

「オブジェクト」メニューに「ロック」と「隠す」という機能があります。選択したオブジェクトをロックし、一切の操作を受け付けなくするのが「ロック」。選択したオブジェクトをいったん非表示にして、操作も受け付けなくするのが「隠す」です。
本来は、ごちゃごちゃしたアートワークの特定部分を操作したいときに周囲の邪魔なオブジェクトを一時的に消す…といった使い方をするのですが、これらの機能を利用した選択のTIPSもあります。

「隠す」を一例に取りましょう。「隠す」は選択したオブジェクトを見えなくします。この機能を使っていくつかのオブジェクトを隠します。そのうえで「隠す」を解除すると、当たり前ですが消えていたオブジェクトがふたたび現れます。
実はこの操作がキモで、オブジェクトが再び現れた時、それらは「選択状態」になっているのです。つまり、あるオブジェクトを複数選択したい場合は、それらのオブジェクトを個々に選択しながら「隠す」をし、最後に「隠す」を解除すれば、それらのオブジェクトを一斉に選択できるということになります。共通要素が何もなく、ごちゃごちゃと重なり散らばっているオブジェクトたちを選択したいときに役立つTIPSです。


これは言葉だとちょっと分かりにくいので、実際に試してみてください。なかなか便利で、使いどころの多いTIPSですよ。「ロック」でも似たようなことができますが「隠す」とは機能の性質が異なりますので、使いどころは作業に合わせて変えてやるとよいでしょう。

 

アウトラインモード

最後に「アウトラインモード」での選択について。「アウトラインモード」には「表示」メニューの「アウトライン」を選択することで移行します。色や効果をすべてカットして、線だけでオブジェクトを確認できるモードです。
このアウトラインモードでのオブジェクトは、線の部分しか選択できないという特徴があります。塗りの部分は無視され、クリックしても選択できないということです。
これを逆用(と言っていいのか分かりませんが…)し、普通なら塗りや効果で隠れているオブジェクトが、アウトラインモードに切り替えることで直接選択できるようになるのです。
これも言葉だと分かりにくいので、実際に試してみてくださいね。


なお、アウトラインモードというのは、あくまで見え方がいったん変わるだけで、アートワークそのものが変わってしまうわけではありません。もう一度「表示」メニューの「アウトライン」を選べば解除されますのでご安心ください。

 

いかがだったでしょうか。「選択」は頻度の高いアクションですから、工夫することで作業効率が爆上がりしますよ。いろいろ試してみてくださいね。

 

それではみなさま、今回はA山がお送りしました。
また会う日までお健やかにお過ごしください!