コンドットスタッフのA山です。
みなさまごきげんいかがでしょうか。
今回は印刷のお話で「解像度」について。初心者の方がかなり戸惑う部分ではないでしょうか。
しかも、ややこしい・理解しづらいわりに、デジタル用の素材を作るときであろうが、印刷用の素材を作る時であろうがついて回る数字でもあります。
「解像度」という数字は何を表すのか、実際の制作ではどう扱えばよいか。これを奥深くまで追ってゆくのはなかなか難しいですが、今回は解像度を操るためのとっかかりになるよう、基本のキになる部分を解説いたします。
絵柄の細かさを表すのが「解像度」
印刷にかかわっていると必ず出現する「解像度」という単語。これは「画像解像度」のことで、ざっくりと表現するなら「絵柄の細かさ」を表す数値です。
印刷業界等では〇〇dpi(ディーピーアイ)、などと表現することが多いのですが、この「dpi」の意味を簡単にご説明しましょう。
コンピュータ上の画像というのは点々の集合で出来上がっていることはみなさまイメージできるかと思います。「dpi」とはdots par inchの略で、「1インチ(=2.54cm)の中に点(=ドット)がいくつ詰まっているか」を表す数値です。例えば100dpiであれば、2.54cmの中に100個、点が詰まっています。1000dpiであれば1000個です。ですので、1000dpiのほうが画像内の情報量が多く、ひとまず100dpiより精細な画像であるということができます。(その情報の「質」がかかわるので、100dpiより1000dpiのほうが「美しい」かどうかは状況によります。コレ重要。このあと解説します)
似たような言葉に「ppi(pixels per inch)」というものもあります。これは、「1インチの中に『ピクセル』がいくつ詰まっているか」を表す数字です。それではピクセルとは何か…という話をしていくとたいへんややこしく、長くなってしまうので本稿では割愛します。とりあえず、ppiは画像をデジタル画面に表示する際の精細さを示す数字、くらいにお考えください。印刷においてはdpiもppiも事実上同じ単位であり、dpiの用語が使われることが多いです。
ちなみに、案外気付いていない人が多いのですが、イラストレーターやフォトショップのアプリケーション内においては、「ppi」が用いられています。興味ある方は各アプリの画像解像度のところを確認してみてください。
実際の入稿作業においては…
さて、この数字、実際の印刷工程ではどう扱えばいいのでしょうか。
まず前提として、この数字は出力データの「画像」すべてについて回る数字であるということは意識いたしましょう。データ内に写真やイラストが貼り込んであれば、それら1つ1つに個別のdpiがあります。
ただし例外があり、イラスト等で「ベクターデータ」になっているものは、解像度の値は気にしなくてもいいのです。なぜならベクターデータは「点」ではなく「線」で記録されたデータだからです。それから、フォントデータも基本的には解像度は気にしなくていいです。(なお、ベクターデータについては稿をあらためてお話ししたいと思います)
そして、印刷機の種類によって必要なdpiの値は異なります。
一般的な印刷の場合、画像解像度は300dpi程度は必要と言われています。この値を割り込むほど、画像はモザイクのように粗くなっていきます。看板用のプリンタの場合は少し低く、基本的には100~150dpiくらい必要です。ポスター出力のプリンタの場合はその中間、200~250dpi程度が必要です。
コンドットの商品で言うと、「ポスター」「屋内用パネルの黒」は200~250dpi、屋内用パネル(白)や屋外用パネル、塩ビシート等は100~150dpiにあたります。
ただ、ここからが難しいところで、さきほどもちらっと触れましたが、いくら解像度の数値を満たしていても、画像データの質が悪いと結局出力結果はイマイチになってしまいます。ここで言っている「質」とは定量的に表現できる要素ではなく、解像度を離れた「絵のキレイさ」みたいなものです。
たとえば、同じ人間が同じ物体を同じ解像度で撮影しても、スマホカメラとプロ仕様の一眼レフで撮った写真はそれぞれ「質」が違ってきます。スマホの写真は一眼レフの写真よりも色の繊細さや鮮やかさとか、像の鮮明さが劣るのです。ちょっと拡大して比べてみると一目瞭然のレベルで、高級一眼レフでなくて、ちょっとしたコンデジでもスマホの写真よりはだいぶきれいなのが分かります。これはカメラのレンズ径やセンサーの大きさに由来する差なのですが、こういうものがここでいう「質」にあたります。
解像度が少々足らなくても、画像の「質」がよければフォトショップ等のソフトで解像度の値等を補正してやることで十分使えたりもします。看板のように設置個所が決まっており、遠くから見ることが確定しているグラフィックなどはなおさら。結構解像度が足りなくても補正によって全然使えたりなんてことはしょっちゅうです。ただ、いくらきれいな絵でも、想定使用サイズに対してあまりにも解像度が低すぎるとどうしようもなかったり、逆に解像度は確かに足りているのに、出力してみるとボケボケとかギザギザな結果になったなんてことも…このあたりは常にケースバイケースで、プロでも難儀する部分です。経験を積んで適切な画像を用意できるようになっていくしかないところですね…
とはいえ、やはり基本になるのは解像度の値なのはまちがいありません。データ入稿をする場合、使用画像の解像度が出力機に必要な値を満たしているかは確認したほうが無難です。
と、いうわけで今回はこれくらいにしたいと思います。繰り返しになりますが、単純に解像度の値を満たしさえすればきれいな印刷になるわけではないことはよくご注意くださいね。
それではみなさま、今回はA山がお送りしました。
また会う日までお健やかにお過ごしください!