【材料の知識】『アルポリ』とは何者か・概論

コンドットスタッフのA山です。
みなさまごきげんいかがでしょうか。

 

みなさま『アルポリ』はご存じでしょうか。なんとなく聞いたことがあるけれど詳しいことまでは知らないな…という方が多いのではないでしょうか。
今回と次回にわたって、そんな『アルポリ』についてご紹介。今回は概論として、文字通りの「アルポリとは何ぞや」についてのお話です。

 

アルポリ?アルミ複合板?

「アルポリとはアルミ複合板のことである」といわれることもしばしばありますが、これは厳密にいうとすこーし違います。

 

まず「アルポリ」というのは商品名の略称です。三菱樹脂が販売している「アルポリック」という商品の略称が「アルポリ」であり、それが広く世に流通した結果、代名詞のようになって「アルミ複合板」全般を指すようになっているのです。

同じような経緯をたどった製品もたくさんありますよね。キャタピラ(一般名・無限軌道)、マジックテープ(一般名・面ファスナー)、バンドエイド(一般名・絆創膏)等々….これら「商品名が有名になりすぎちゃった」ものの一つが「アルポリ」というわけです。

そして「アルミ複合板」というのは、その名の通りアルミ板と樹脂を複合した看板用板材の名前です。むろん「アルポリック」も「アルミ複合板」としての構造を持っています。つまり「アルポリック」はアルミ複合板という大きなくくりの中に入る商品の一つということになります。

「アルポリ」とアルミ複合板の違いとは?

「アルミ複合板」は類似の構造をもった看板用の板全般を指し、アルポリックすなわち「アルポリ」もその中に含まれるということがわかりました。しかしここからがアルミ複合板の世界のややこしいところです。

 

ここまでに述べてきた経緯から、世に出回っている「アルミ複合板」は「アルポリック」と似たようなものなんではないかと思われるわけですが、実は、それらのアルミ複合板の多くは、「アルポリック」とはちょっと違うんですよ。用途は同じで、アルミ板と樹脂を複合したつくりという部分も同じなのに、何が違うのか?

 

まず、「アルポリック」は国交省の不燃認定材なのです。看板屋的には、ここが一般のアルミ複合板ともっとも違うところというイメージですね。不燃材料に限定された条件の仕事の際は、「アルポリック」やそれと同等の性能を持つアルミ複合板を使う必要があります。
それから値段。「アルポリック」は一般のアルミ複合板と比べてなかり高額です。目玉が飛び出るほど高い!
そして、「アルポリック」は一般のアルミ複合板と比べて「重い」。めっちゃ重いです。なぜ重いのかはA山もよく知りません。アルポリックは不燃認定品でもありますし、原材料の加工法とか、細かい構造とかが違うのかもしれません。

 

ともかくこういう違いはあるのですが、(おそらくは)構造と用途にのみ着目して「アルミ複合板」は「アルポリ」と呼びならわされているわけですな。

 

なお、上でもほんのり触れましたが、上記のような特徴を持つアルミ複合板はアルポリックが唯一というわけではありません。積水樹脂や藤田産業など各社が有名な不燃認定付きアルミ複合板のブランドを出しています。これらはやっぱり重くて高いですよ(笑)。

アルポリックじゃなけりゃ粗悪なのか?

さて、そうなると、アルポリックではない「アルミ複合板」はよくないのか、粗悪なのかという疑問がわいてくるところですが…まったくそんなことはありません。
一般のアルミ複合板だからといって割れやすいとか、対候性が悪いとかいうことはありません。アルポリック等の高級な製品には及ばないとしても、看板用の板として十分なクオリティを持っています。
不燃認定についても、使用の際にそれが必須のケースはあまり多くないです。それよりも、軽くて安価な点を重視することの方が圧倒的に多いでしょう。

 

つまり、一般的な用途で考える場合、アルポリックなどはむしろオーバークオリティなんですね。世にはおそらく膨大な量のアルミ複合板が出ておりますが、実際そのほとんどがアルポリックではない、いわばフォロワーの製品ではないでしょうか。そういう統計があるかどうかは不勉強で存じ上げないのですが、看板屋の肌感としてそう思います。
不燃認定が必要なところに非認定品を使ってしまった、などというケースを除けば、アルミ複合板の質が問題になったトラブルというのもほぼ聞いたことがありません。用途に対応する性能としては、たいていの場合フォロワー製品でも十分なわけです。

 

と、いうわけで今回は「アルポリ」のお話でした。
次回はアルミ複合板の具体的な構造や用途などについてお話ししたいと思います。

 

今回もA山がお送りしました。
また会う日までお健やかにお過ごしください!