【イラストレーターTIPS】最新の「塗り足し機能」

コンドットスタッフのA山です。
みなさまごきげんいかがでしょうか。

 

今回はわれわれのような出力業者に対して入稿する際、かならず必要になってくる「塗り足し」についてのネタです。

驚愕!

イラストレーターの2025年版において驚愕の機能が追加されました。
それは「断ち落としを印刷」機能!簡単に言うと「塗り足し」をAIが自動で追加してくれる機能です。

 

お客様から預かったデータをプリンタに読み込ませるのに適した形へと作り変えることは、われわれ出力業者はにとって日々の業務です。優秀なオペレーターの場合、1日に作成する出力データの数は数十にもなることはザラ。その中にはいろいろなデータがあり、塗り足しをつけていないデータもちょくちょく混じっております。
これらのデータに塗り足しを付与することは、データ業務の中でなかなかのウェイトを占めます。単純に色で延ばすだけでは足りないデータも多く、オペレーターはさまざまなノウハウによって塗り足しを作り出すのです。

 

ちなみに、フォトショップにはこれまでも「コンテンツに応じた塗りつぶし」という機能があり、それによってデータに応じた塗り足しを付与することは可能でした。しかしこれはもともと「塗り足し」のためにある機能ではないため、うまい結果が出なかったり、イラストレーターデータは一度画像に変換してフォトショップに読み込ませる等のひと手間が必要で、やはりノウハウがないとうまく運用することはできませんでした。

 

しかし「断ち落としを印刷」機能の出現によって、イラストレーター上で、ボタン一発で塗り足しが付きます。これはわれわれにとって驚愕です。ついにきたか、という感じですね。

 

使い方は?

使い方は簡単です。これまで本ブログでも何度か触れてきた「断ち落とし線」という赤い線がありますが、これを設定してやれば準備はOKです。これまでは「この線が邪魔な人は消してしまいましょう」なんて紹介をしてきましたが、ついにこの線が役に立つ日が来た!
具体的には以下の手順です。

 

1.アートワークの準備

具体的には、まずアートワークをアートボードぴったりに置いてください。というか、例えばA4のデザインをするならA4のアートボードの中に作業していきますから、自然とそうなっているはずですね。アートワークはパスデータでも画像データでも何でもOKです。

 

2.「断ち落とし線」の設定

「断ち落とし線」の設定はメニューの「ファイル>ドキュメント設定」の中にあります。
ここで塗り足しをつけたい巾に「断ち落とし線」を設定します。5mm塗り足しをつけたいのなら5mmに。
われわれのような「看板」を扱う業者は、四方ではなく「左下のみ」の塗り足し等を付けることもよくあります。「断ち落とし線」は上下左右どの方向にでも設定でき、左下、左右下、上下左など変則にすることもできます。

3.塗り足しを生成

ここまできたらあとは簡単です。右上に赤いキラキラしたボタンが出てきますので、これをクリック。これだけで塗り足しが生成されます。驚愕…

 

実例!

いくつか実例を見てみましょう。コンドットでは2mmの塗り足しをお願いしていますが、以下ではわかりやすいように10mmの塗り足しをつけました。パス、画像問わず塗り足しが付いているのがお分かりになると思います。

まとめ

「断ち落としを印刷」機能のご紹介でした。特に画像などはデータそのものに塗り足しがないケースが多く、使いどころは多そうですね。
しかしいまだ万能というわけではなく、「断ち落とし線」はアートボードにしかつけられないため、異形データへの塗り足し付与はこの機能ではできないと思われます。今後、異形アートボードが実装されるとかしたら可能になりますかね。

 

先ほども述べた通り、塗り足しの作成はデータ業務のメインの一つ。この機能の出現によってそのノウハウが無駄になるかと思うと寂しくもあり、不安もあり…これがAIに仕事を奪われるということか…
しかしまあ、データ業務は塗り足しをつける以外にもやることはたくさんありますし、手間が省けただけで、今のところ仕事がなくなることはなさそうです(笑)。

 

なお、この機能を使うには「生成クレジット」というadobeの専用通貨を使用します。ある程度は月々振り込まれるのでデフォルトの状態でも機能は使えますが、どの程度振り込まれて、なくなったらどうやって買い足すのかとかは、A山も調べましたが、確定的なところはよくわかりませんでした。くわしくはみなさまのほうで調べていただければと…(笑)。

 

と、いうことで、みなさまも必要に応じてこの機能を活用して、入稿の際はしっかり塗り足しをつけてくださいね。

 

今回もA山がお送りしました。
また会う日までお健やかにお過ごしください!