コンドットスタッフのA山です。
みなさまごきげんいかがでしょうか。
シリーズでお送りしている「等身大パネル」の作り方もいよいよ最終回です。前回まででカットラインがほぼできたので、今回は仕上げといきましょう!
1.足元を整える
さて、今回のグラフィックですと、女性のスカートがヒザのあたりで広がり、そこから脚に向かって急激に幅が狭くなっています。これは等身大パネルの形状としてかなりマズイです。足元だけ細くなっていると、重心が高くなって不安定になりますし、細くなった箇所はパネル裏にセットする紙脚もはみ出て見えてしまうので美しくありません。以前もご紹介したことがありますが、等身大パネルの形状は、全体として三角形や台形のシルエットになるのが望ましいです。
ですので、今回のデータも、足元を幅広くして整えます。やり方はいろいろ考えられますが、今回のグラフィックですとフリーハンドでパスを描いていくのが一番楽でしょう。
継ぎ足したい形状を「パスツール」で描きます。下辺は水平な直線にして、全体は閉じたパスにしておきます。描けたら「パスファインダー」の「合体」で線を一つにして完成です。とがった部分等があったら前回使った「スムーズツール」等で修正しておきましょう。
2.文字と合わせる
等身大パネルといっても、純粋にグラフィックだけでデザインするシチュエーションはあまり多くないでしょう。お芝居のセットなどならグラフィックだけのこともありそうですが、等身大パネルの多くは販促目的ですから、ロゴやコピーと合わせることがほとんどです。
と、いうわけでロゴ、コピーと合わせていきます。
ロゴの部分は足元に配置するのでそのままグラフィックの上に置いてやりますが、コピーのほうは処理が必要です。とはいえ、ここまで進めてきた方ならやり方はもうわかるはず。コピーのカットラインを作り、メインのカットラインと合体してやればいいのです。手順としては以下の通り。
1.文字を用意する
2.フォントアウトラインをとる
3.「パスのオフセット」で輪郭を太らせる
4.今回は文字ということでパスがバラバラ。「パスファインダー」の「合体」で1つにしてやる。
5.穴になっている線は不要なので削除し、えぐれているところ、離れているところ、細くなっているところ等を直す。今回はフリーハンドでざっくりと形を取りました。
6.またまた「パスファインダー」の「合体」を使って1つの線にまとめました。
出来上がったら文字と線を想定の場所に配置。配置出来たら「パスファインダー」の「合体」でメインのカットラインと合体させます。この時点で余計な穴等が現れることがありますので、それは削除しましょう。
3.レイヤーを整える
最後に、入稿に適したようにレイヤー構成を整えましょう。記事の都合上、ご説明が最後になってしまいましたが、レイヤーの整えはもちろん作業と同時進行でおこなって問題ないですよ(というか、一般的には作業しながら整えていくものです)。
さて、入稿に際して必要なレイヤーは基本的には以下の3つです。
①グラフィックのレイヤー
②カットラインのレイヤー
③説明のレイヤー
①は作ったデザインを入れておくレイヤー。デザインの工程でレイヤーが複数使われている場合でも、入稿の時は一つにまとめましょう。全体をグループ化しておくのもやっておいたほうがいいでしょう。ここでグループ化しておくと印刷工程で業者がデータを動かす際、パーツの置き忘れなどが発生する可能性を潰せます。
また、ロックのかかったオブジェクトはロック解除しておきましょう。隠してあるオブジェクトがあれば表示させて削除しておいてください。これらはプリンタのエラーや工程のミスの原因になる可能性があるので、細かなことですが重要です。
②はカットラインを入れておくレイヤー。カットラインは透明でもかまいませんし、わかりやすい色を付けておいてもかまいません。
③はパネルの仕様や寸法を入れておくレイヤー。必須ではないですが、入れておいた方が安全です。例えばサイズによっては10分の1でデータを制作することもありますが、ここに寸法を記述しておくことで仕上がり10倍のサイズになることが間違いなくわかります。
①②③のレイヤーにはわかりやすい名前を付けましょう。
これらはコンドットのルールではあるものの、どんな出力物であっても、どこの業者でも基本的には通用する入稿の原則です。とはいえ、細かいルール付けは各業者で様々ですので、ほかの業者に入稿する際はその業者のルールに合わせましょう。例えば②レイヤーでカットラインには色を付けないでください、とか、③のような説明のレイヤーは不要で発注フォームにすべて記入してくださいとか、そういうルールの業者であればそうしたほうがいいですね。
とうとうこれで等身大パネル、入稿データの完成です。おつかれさまでした。
と、いうことで長い記事になりました。一挙にここまで理解しきるのは大変ですが、やっているうちに慣れてきますよ。みなさまも素敵な等身大パネルを作ってくださいね。ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
今回もA山がお送りしました。
また会う日までお健やかにお過ごしください!