コンドットスタッフのA山です。
みなさまごきげんいかがでしょうか。
今回は初の前後編となった「カッターナイフ」の後編です。わざわざ前後編にするネタがこれかい!という声が聞こえてきそうですが…
看板屋にとってはほんとにこれがないと何にもできないくらい重要なツールであり、それだけに語れることも多くなってくると。
と、いうわけでさくっといってみましょう!
その他のカッターナイフ
前回メインでご紹介したのは、オーソドックスな「大」「小」のカッターナイフでした。今回まずはそれ以外のカッターをご紹介しましょう。
中と特大
メーカーにもよりますが、カッターナイフには小と大の間の「中」と、大より大きい「特大」もあります。ぶっちゃけ、これらはわれわれの仕事内容だとあまり使わないです。特大が必要になるほど手ごわい材料はさすがにないですし、中については小と大で事足りるので必要ないという感じです。中カッターナイフの刃はサイズのわりに結構ガッシリしているので、丈夫さは必要だけどある程度の細やかさも必要、みたいなカット作業が多い工場には使いどころがありそうですけどね。
全部金属のカッター
「プロ用」なんて銘打って販売されている、ボディがすべて金属のカッターナイフもあります。これは普通のカッターナイフで事足りるのであまり使わない…と思いきや、案外使いどころがあります。ボディが細くて薄いので曲線的な動きを取りやすく、微妙な力加減も効かせやすい、カットの感触が指に伝わりやすい、等々の特徴があり、曲線のカットや繊細なカットの際はたいへん扱いやすいのです。手作業でシートやパネルの異形カットをおこなうときはこれですね。
替刃のほうも曲線カットに向いた、30度の鋭角刃というのがあります。A山は職人ではないのでそこまで実感はないのですが、全金属のボディに鋭角の替え刃というのは曲線カットの最強ツールらしいです。手練れの職人さんがこの組み合わせでカットをするとみるみるうちに異形が切れていきますねー。
デザインカッター
さらに細かい作業に向くのがデザインカッターです。鉛筆みたいな細い軸に、小さな小さな刃をセットして使うのですが、これは看板屋はほぼ使いません。われわれの作業は切る距離が長く、材料も厚いものが多いので、カッターナイフの刃は結構すぐにすり減ります。そういう場合は古い刃をポキっと追って新しい刃にするわけですが、1本に1枚しか刃をセットできないデザインカッターだと刃を交換する際の効率がかなり悪いです。軸の細さ(=握りにくく力もかけづらい)、刃の小ささや薄さ(折れたり欠けたりしやすい)も工場作業には向きません。
工場の作業でも出番があることもありますがかなり稀です。その名の通り、デザインカッターは基本的にクラフト、アート向けなのでしょう。
Pカッター
プラスチック板を切るためのカッターがPカッター。独特な形状の刃をしていて、プラスチック板の上で何度も引くことで板を切断できます。が、プラ板を切るにしても大型のカット機があるので、工場で使うことはありませんね。職人さんが用意していることもありますが、現場でもしものことが起こった時用に一応持ってるというくらいの感じです。
カッターナイフのTIPS
最後にカッターナイフのTIPS(?)をいくつか。
1.替え刃でものさし
カッターナイフの替え刃には折るための筋が入っております。この筋と筋の間は9mm刃の場合で「5mm」。細かい作業をしているときにものさし代わりになります。
2.百均のカッター
カッターナイフはいろんなところで売っています。もちろん百均でも。百均のカッターってどうなの?というところですが、これはわれわれの仕事には向きません。やっぱり安いだけあってボディがヤワだったり、ストッパーが弱かったり、刃と支持金具の間にすき間があってふらふらしていたりするからです(支持金具そのものがないモデルもある)。有名メーカーのものはそれなりのお値段しますが、そのあたりのクオリティが非常に高いです。安全にもかかわるので、工場ではそういったお高め(と、いったってだいたいが数百円ですが)のカッターナイフを使用します。
とはいえ、ご家庭や職場でたまに薄い紙を切る、通販の買い物を開梱するといった用途なら百均カッターでも十分ですけどね。
3.カッターナイフちょっと出し
荷物を開けるときに、ガムテープをカッターで切ること、ありますよね。この時、カッターナイフの先を「ちょっと」(2mmくらい)出して切ると、箱の中まで貫通することもなく、誤って指を切っちゃう危険性も少なく、開梱ができます。
これ、職人さんがやってたのを見て覚えたTIPSです。すぐ思いつきそうでなかなか思いつかない気がするんですが…A山だけ?
4.黒い刃
カッターナイフの替刃に「黒刃」というのがあります。切れ味がよいという触れ込みですが…これほんとにめちゃめちゃ切れます!力をあまりかけなくてもスッと刃が通る感覚で、明らかに切れ味がよいのが分かるレベルですね。ただ難点があり、すり減る(切れ味が悪くなる)のが銀色の刃よりかなり早いんです。ですので、1日にとんでもない距離を切る工場の作業には向きません。ハンパない刃の消費量になってしまいます。値段もかなり高いですからね。
と、いうことでカッターナイフのお話を2回にわたってお送りいたしました。
一般的にはせいぜい荷物の開梱に使うくらいだと思いますが、実は奥深い世界です。もしカッターナイフを使うお仕事に縁があったとき、この記事が参考になりましたら幸いです。
それではみなさま、今回もA山がお送りしました。
また会う日までお健やかにお過ごしください!